金庫の鍵を紛失してしまっただけでなく、さらに追い打ちをかけるように「ダイヤルの番号も忘れてしまった」という二重のトラブルは、金庫の開錠依頼の中でも特に難易度が高いケースとして知られています。この場合、作業工数が増えるため、当然ながら料金や作業時間も大幅に増加します。一般的な家庭用金庫において、鍵のみの開錠であれば一万円台で済むことが多いですが、ダイヤルの解読も加わると、合計の料金は三万円から五万円程度が相場となります。業務用やより高度な防犯金庫になると、八万円から十五万円程度の予算を見ておく必要があります。作業時間の目安としては、鍵の開錠に十五分から三十分、ダイヤルの解読に四十分から二時間程度、合計で一時間半から三時間ほどかかるのが一般的です。ただし、これはスムーズに作業が進んだ場合の話であり、ダイヤルが百万通り以上の組み合わせを持つ百万変換ダイヤルであったり、オートリロック機構が備わっていたりすると、さらに時間がかかることもあります。料金が高くなる理由は、作業ステップが二段階になるためだけではありません。ダイヤル開錠には、聴診器のような専用の機器を使用して内部の音を聞き分けたり、わずかな指先の感触で回転盤の溝(ゲート)を特定したりといった、シリンダー開錠とは全く別の熟練した技能が求められるからです。最近では、ダイヤル部分にドリルで小さな穴を開け、そこから内部を覗いて解読する方法も一般的ですが、作業後にはその穴を塞いで修復する作業も発生し、その工賃が料金に含まれます。もし金庫が古いタイプで、番号を合わせる際にカチカチと音がするタイプであれば比較的短時間で済みますが、最新の無音タイプや防盗性の高いものは解読に非常に苦労します。お客様の中には「鍵も番号も分からないなら、もう壊してもいいから早く開けてほしい」と仰る方もいますが、破壊開錠であっても、どのポイントを突けば扉が開くのかを見極めるには専門知識が必要であり、決して安上がりになるわけではありません。二重紛失の状況に陥った際は、まずは落ち着いて、業者に対して「鍵がないこと」と「番号が分からないこと」の両方を明確に伝え、それぞれの作業に対していくら発生するのか、内訳を詳しく確認することがトラブル回避の鍵です。作業時間が長引くことを想定し、当日のスケジュールには余裕を持って依頼するようにしましょう。プロの技術によって、どれほど頑固な二重の封印であっても必ず解くことは可能です。その対価としての料金と時間は、大切な中身を取り戻すためのラストチャンスを掴むためのコストと言えるでしょう。