買い物帰りのスーパーの駐車場で、荷物を積み込み、さて帰ろうとした時のことでした。キーを差し込んで回しても、エンジンが「キュルキュル」と力なく鳴るだけで、一向にかかる気配がありません。昼間の明るい駐車場でしたが、私は一気に心細くなり、額から冷や汗が流れるのを感じました。ガソリンも十分に入っているし、ライトの消し忘れもなかったはず。なぜこんなことになったのかと、ダッシュボードをぼんやりと見つめていた時、メーターの隅で鍵のような形のアイコンが赤く点滅しているのに気づきました。それは今まで見たことがないマークでした。私はすぐに助手席のグローブボックスから分厚い取扱説明書を取り出し、警告灯のページをめくりました。そのマークは「イモビライザー警告灯」といい、車両の盗難防止システムが正しく解除されていないことを示すものでした。説明書を読み進めると、どうやらスマートキーの電波干渉や一時的なシステムエラー、あるいはキーの不認識が起きている可能性があるとのこと。私は一旦キーを抜き、深呼吸をしてから、スマートフォンなどの電子機器を鍵から遠ざけてみました。そしてもう一度、説明書にあった通りに、今度は少し丁寧に操作を行いました。すると、先ほどまで点滅していた赤いマークがすっと消え、次の瞬間、エンジンが勢いよく始動したのです。あの時の喜びと解放感は、言葉では言い表せません。もし私がこのマークの意味を調べず、ただ「故障だ」と決めつけて整備工場に電話をしていたら、レッカー代や点検費用、そして何より多大な時間を無駄にしていたことでしょう。この経験から学んだのは、車という精密機械は、常にドライバーに対して何らかの情報を発信しているということです。エンジンがかからないという結果だけに目を向けるのではなく、その過程で車がどのような「マーク」を表示し、何が足りないと訴えているのかを聞く耳を持つことがいかに重要かを痛感しました。その後、私は自宅に帰ってから改めて車の全ての警告マークについて勉強しました。バッテリーのマーク、油圧のマーク、冷却水のマーク。それぞれが持つ意味と、それが点灯した時にすべき行動を知ることは、ドライバーとしての責任の一つだとも感じるようになりました。駐車場でのあの立ち往生は、私にとって苦い経験でしたが、同時に車との対話の仕方を教えてくれた貴重な教訓でもありました。それ以来、私はメーターパネルに映る光の一つひとつに、より深い信頼と注意を寄せるようになっています。
駐車場で立ち往生した私を助けたエンジンがかからない時のマーク確認