玄関ドアに後付け電気錠(スマートロック)を取り付ける。その行為は、単に鍵をデジタル化するという、一つの完結したアップグレードではありません。実は、それは、あなたの家全体が、より賢く、より快適な「スマートホーム」へと進化していく、その壮大な物語の「序章」であり、最も重要な「入り口」となる可能性を秘めているのです。後付け電気錠は、それ単体でも非常に便利なデバイスですが、その真価は、他のスマートデバイスと「連携」することによって、初めて最大限に発揮されます。その最も身近なパートナーが、「スマートスピーカー(AIスピーカー)」です。Amazon AlexaやGoogleアシスタントと連携させれば、「アレクサ、玄関の鍵を開けて」「OK Google、玄関の鍵、閉まってる?」といったように、声だけで玄関の施錠状態の確認や、操作が可能になります。料理中で手が離せない時や、ベッドに入ってから鍵の閉め忘れに気づいた時など、その便利さは計り知れません。そして、連携の可能性は、さらに広がっていきます。「IFTTT(イフト)」などの連携サービスを使えば、異なるメーカーの様々なスマートデバイスを、まるでドミノ倒しのように、連動させることができるのです。例えば、こんな未来の暮らしが、すでに現実のものとなっています。「GPSと連携し、あなたが自宅から半径百メートル以内に入ると、自動的に玄関の鍵が解錠され、同時に、リビングの照明とエアコンがONになり、お気に入りの音楽が流れ始める」。あるいは、その逆も可能です。「あなたが家から離れ、玄関の鍵がオートロックで施錠されたのをトリガーに、家中の全ての照明とテレビがOFFになり、自動でお掃除ロボットが掃除を開始する」。玄関の「解錠」と「施錠」という、毎日必ず行う行為が、家全体のシステムを起動させたり、シャットダウンさせたりする、メインスイッチの役割を果たすようになるのです。後付け電気錠は、もはや、単に扉を開け閉めするための道具ではありません。それは、あなたの暮らしと、無数のスマートデバイスとを繋ぐ、最も重要な「ハブ」。あなたの家を、単なる箱から、あなたの生活に寄り添う、賢いパートナーへと変貌させる、その魔法の扉なのです。