それは金曜日の深夜、友人たちとの飲み会を終えて帰宅した時のことでした。マンションの入り口でカバンの中を探っても、いつもあるはずの鍵が見当たりません。何度もカバンをひっくり返し、ポケットの中を確かめましたが、どこにもありません。深夜の冷たい空気の中で、私は自分が賃貸マンションの鍵を一本紛失してしまったという現実を突きつけられ、パニックに陥りました。手元には実家に預けていたスペアキーもなければ、家族と同居しているわけでもありません。ひとまずその夜は、二十四時間対応の鍵開け業者を呼び、一万五千円ほどの出張料を払って玄関を開けてもらいました。しかし、問題はそこからでした。翌朝、管理会社に連絡を入れると、担当者からは冷淡なトーンで、防犯のためにシリンダーを丸ごと交換する必要があると言われました。提示された費用は、作業代込みで三万三千円。深夜の鍵開け費用と合わせれば、約五万円近い手痛い出費です。一本失くしただけなのに、なぜこれほど高い費用を払わなければならないのかと憤りも感じましたが、契約書には鍵を紛失した際の入居者負担が明記されていました。肩を落としていた私を救ってくれたのは、入居時に強制的に加入させられていた火災保険でした。ふと思い出して契約書を読み返してみると、そこには鍵のトラブルに関する補償が含まれていたのです。保険会社に電話をすると、警察に遺失届を出していることが条件でしたが、鍵交換にかかった費用を上限内で補償してくれるとのことでした。私はすぐに最寄りの交番へ向かい、遺失届の受理番号を取得しました。その後、管理会社指定の業者によって鍵交換が行われ、新しい鍵が三本手渡されました。最終的に保険金が下りたため、実質的な自己負担は深夜の鍵開け費用のみで済みましたが、もし保険の内容を知らなければ、数日分の給料が飛んでいたことになります。この経験から学んだのは、鍵を一本でも紛失した際、賃貸物件では隠し通すことは不可能であり、誠実に対応することが結局は自分を守るということです。特にディンプルキーのような複雑な鍵は、一本の紛失が全体の交換に直結します。退去時に鍵の本数が足りなければ、どのみち精算時に高額な費用を請求されます。それならば、紛失した時点で速やかに交換し、残りの入居期間を安心して過ごす方が賢明です。それ以来、私は鍵に紛失防止タグを付け、カバンの内側にチェーンで繋ぐようになりました。賃貸暮らしにおいて、鍵一本の重みがいかに大きいかを身を以て知った出来事でした。
深夜に賃貸マンションの鍵を一本紛失して青ざめた私の実体験と解決策