徘徊防止のために、玄関の外側から施錠できる鍵(外鍵)の設置を決意した。しかし、いざ製品を選ぼうとすると、その種類は様々で、どれが最適なのか迷ってしまうかもしれません。徘徊防止という特殊な目的のためには、一般的な防犯用の鍵とは少し異なる視点での、慎重な製品選びが求められます。ここでは、その選び方のポイントと、設置する上での重要な注意点を解説します。まず、鍵のタイプとして最も一般的なのが、後付けで設置する「補助錠」です。これを、ドアの外側の、通常とは異なる位置(例えば、非常に高い位置や低い位置)に取り付けることで、ご本人が鍵の存在そのものに気づきにくくさせ、内側から不用意に操作されるのを防ぐ効果が期待できます。この際、選ぶべきは、室内側には鍵穴がなく、外側からしか施錠・解錠できない「片側シリンダー」タイプのものです。内側にサムターン(つまみ)があると、結局それを回されてしまう可能性があるからです。次に、より柔軟な管理を可能にするのが、「電子錠(スマートロック)」の導入です。スマートフォンアプリと連携するタイプの電子錠であれば、遠隔地にいる家族が、玄関の施錠状態をリアルタイムで確認したり、施錠・解錠を操作したりすることが可能です。例えば、日中のデイサービスの送り出しの際には解錠し、ヘルパーさんが帰った後に遠隔で施錠するといった、きめ細やかな対応ができます。また、特定の時間帯になると自動で施錠するタイマー機能も、夜間の徘徊防止に非常に有効です。しかし、どのようなタイプの鍵を選ぶにしても、絶対に忘れてはならない、最も重要な注意点があります。それは、「緊急時の避難経路の確保」です。外から完全に施錠された状態は、火災や地震が発生した際に、中にいる人が自力で避難できなくなるという、致命的なリスクをはらんでいます。そのため、外鍵を設置する際には、必ず、煙感知器や火災報知器と連動して、自動的に解錠されるシステムを導入するか、あるいは、緊急時に駆けつけてくれる近隣の親族や、見守りサービスなどと連携し、物理的な合鍵を預けておくといった、二重三重の安全対策を、同時に講じることが、絶対的な条件となります。
徘徊防止のための外鍵選びとその注意点