キーレスエントリーシステムは、現代の車に欠かせない快適装備ですが、その利便性の裏には、知っておくべきいくつかのデメリットも存在します。メリットとデメリットの両方を正しく理解することで、その恩恵を最大限に活用し、トラブルを未然に防ぐことができます。まず、最大のメリットは、言うまでもなくその「利便性」と「快適性」です。雨が降っている日に、車に駆け寄る前に遠くからドアロックを解錠できる。両手が買い物袋でふさがっている時に、ポケットの中のリモコンを探ってボタンを押すだけでドアを開けられる。こうした快適さは、一度味わうと手放せません。また、鍵穴に物理的に鍵を差し込む必要がないため、鍵や鍵穴周辺が傷つくのを防ぎ、摩耗による劣化を抑えることができるという地味ながら重要な利点もあります。さらに、「アンサーバック機能」によって、ハザードランプの点滅や音で施錠・解錠が確認できるため、「ちゃんと鍵を閉めたかな？」という不安を解消してくれる心理的な安心感も大きなメリットです。一方で、デメリットも存在します。最も頻繁に起こりうるのが、「リモコンキーの電池切れ」です。電池が切れてしまうと、当然ながらリモコン操作は一切できなくなります。いざという時のために、内蔵されているメカニカルキーの使い方を覚えておく必要があります。また、電波式のシステムは、テレビ塔や発電所の近くなど、強力な電波が発生している場所で「電波干渉」を起こし、一時的に作動しなくなる可能性があります。そして、経済的なデメリットとして、キーを紛失したり、水没などで故障させてしまったりした場合の「交換費用が高額になる」点が挙げられます。特に、盗難防止装置のイモビライザーが搭載されているキーの場合、その交換費用は数万円に及ぶことも珍しくありません。これらのデメリットを理解し、定期的な電池交換やキーの丁寧な取り扱いを心がけることが、長く快適にキーレスエントリーシステムと付き合っていくための秘訣です。